私の作品は人体をモチーフとし、リアルを追求しながらシュールな世界観を造形で表現しています。日常の何気ない事象から受けるインスピレーションを「子供のような心」で想像し、「特殊造形の技術」で創造します。作品が内包するユーモアは、リアルさや不気味さだけで終わらせたくないという思いがあり、また、気取らないアートでありたいという態度の表れでもあります。

『人工物が増え続けるこの世界で、人体そのものは（ヒトが生み出しているにも関わらず）自然物であり続ける。』そんな忘れてしまいがちな事実の中に、私が人体造形に魅了されている理由があります。またこのような観点は、「人間は自然の一部である」という日本古来の自然観にも通じています。

その一方で、世界はメタバースやシンギュラリティ、生命倫理の問題など”超人工的世界”へと向かっています。自然と人工どちらが良いとかではなく、自分たちが何者であるかを再考し、自身の立ち位置を見定めていくことが必要だと考えています。その上で、誰もが持つ「人体」という要素に対し、超写実的（hyperreal）かつ超現実的（surreal）アプローチを試みています。